おはようございます!
来世ではサッカー選手になる予定の塗山です!
今回のテーマは、
人工股関節置換術と全身麻酔についてです。

今回は手術の麻酔の話ですよ!

どんな麻酔するのかしら…
人工股関節置換術と全身麻酔:メリット・リスク・最新エビデンス
こんにちは~~~!整形外科医の塗山正宏です。
人工股関節置換術(THA:Total Hip Arthroplasty)は、変形性股関節症や特発性大腿骨頭壊死症などに対して非常に効果的な手術ですが、同時に「どの麻酔方法が選ばれるのか」は多くの患者さんが不安に思う点でもあります。
今回は、人工股関節置換術と全身麻酔の関係について、最新の研究を交えながら、整形外科医の塗山正宏さんがわかりやすく解説します。
🔎 人工股関節置換術の麻酔方法:2つの選択肢
人工股関節置換術では、主に以下の麻酔方法が用いられます。
麻酔法 | 概要 |
---|---|
全身麻酔 | 意識を完全に失わせて手術を行う |
脊椎麻酔 | 腰椎に麻酔薬を注入し、下半身の感覚を麻痺させる |
今回のテーマである「全身麻酔」は、特に近年では安全性が向上しており、多くの人工股関節置換術で標準的に使用されています。
✅ 全身麻酔のメリットとは?
1. 完全な鎮静状態での手術が可能
- 手術中の不快感やストレスが一切なく、安心して治療を受けられます。
2. 手術体位(側臥位・仰臥位)の調整が容易
- 仰臥位(仰向け)や側臥位(横向き)でのアプローチが多い人工股関節置換術において、体位に関係なく全身麻酔は非常に有効です。
3. 麻酔の効果を細かくコントロールできる
- 麻酔薬により、深さや覚醒時間の調整が可能になっています。
⚠️ 全身麻酔のリスクと注意点
もちろん、全身麻酔には以下のようなリスクも存在します。
リスク | 対応策・予防法 |
---|---|
呼吸抑制・無呼吸 | 人工呼吸管理を行い、安全にコントロール |
術後のせん妄 | 高齢者ではモニタリングと早期覚醒が重要 |
吐き気・嘔吐 | 制吐薬の併用で予防可能 |
気道確保困難 | 麻酔前評価でハイリスク患者を抽出 |
📚 文献にみる全身麻酔の効果と比較
・Memtsoudis SG, et al. (2016)
Perioperative outcomes after total hip arthroplasty: comparison of general versus neuraxial anesthesia.
Anesthesiology. 2016;124(5):995-1005.
→ 脊椎麻酔と比較して全身麻酔の深部静脈血栓症のリスクがわずかに高かったが、呼吸合併症の差は臨床的に大きくなかった。
・Pugely AJ, et al. (2013)
The effect of spinal versus general anesthesia on short-term outcomes after THA.
J Bone Joint Surg Am. 2013;95(3):193–199.
→ 全身麻酔群では、術後の転帰(感染率・再入院率)に統計的差はないが、若干の術後吐き気が増加する傾向あり。
これらの報告からもわかるように、全身麻酔は安全かつ効果的である一方、患者さんの背景に応じた適切な管理が必要です。
🧠 よくある質問(FAQ)
Q1. 高齢でも全身麻酔は大丈夫ですか?
→ 麻酔科医による術前評価とリスク管理を行えば、安全に実施可能です。
Q2. 術後の意識回復は遅くなりますか?
→ 最新の短時間作用型麻酔薬を使用することで、通常術後数分で覚醒できます。
✅ まとめ:人工股関節置換術における全身麻酔の立ち位置
全身麻酔は現在は標準的で安全性の高い方法になっています。
全身麻酔は脊椎麻酔との比較では、回復力や術中の操作性に優れるとされています。
私が行っている人工股関節置換術では基本全身麻酔を用いて手術を行っております。
患者さんにはしっかり眠っていただき、骨盤や股関節が安定した状態で手術を行う事で、人工股関節をより目標の位置に設置する事が可能だと思っています。
手術を受ける皆様は安心しっかり眠っていただき手術を受けてくださいね。
以上、全身麻酔についてお知らせしました!
では、また!
最近の全身麻酔は安全な麻酔なので安心して手術を受けましょう!

「え、もう9時!?」
たまに寝すぎて朝か夕方かわからなくて焦る時がある整形外科医の塗山正宏でした!
【執筆】塗山正宏 医師
世田谷人工関節・脊椎クリニック
日本整形外科学会認定整形外科専門医
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