格言 Season207

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― 人工股関節術後のリハビリで本当に大切なことを整形外科医が解説 ―

整形外科医の塗山正宏です。

今日も笑顔満載で元気に解説させてください!!

宜しくお願い致します。


1. はじめに|「毎日こんなに頑張っているのに、なぜ良くならないの?」

人工股関節置換術(THA:Total hip arthroplasty)の術後外来で、患者さんからこんな相談を受けることがあります。

  • 「毎日たくさん歩いているのに、思うように回復しません。」
  • 「もっとリハビリを頑張ったほうがいいのでしょうか?」
  • 「他の人より回復が遅い気がします。」

患者さんは一生懸命です。

だからこそ私は、こんな言葉をお伝えしています。

塗山先生
塗山先生

回復は、頑張った量ではなく、“続けられた時間”で決まります。

人工股関節の術後は、「頑張る人」が早く治るわけではありません。

「無理なく続けられる人」が、結果として良い回復につながることが多いのです。


2. 人工股関節の回復は「積み木」と同じです

リハビリというと、

  • 長く歩く
  • 筋力トレーニングをたくさん行う
  • 毎日限界まで頑張る

ことが大切だと思われがちです。

しかし実際の回復は違います。

私は患者さんに、

「回復は積み木を積むようなものです」

とお話ししています。

一つひとつは小さくても、毎日積み重ねれば大きな成果になります。

一方で、一度にたくさん積もうとすると、崩れてしまいます。

リハビリも同じです。


3.「頑張りすぎ」が回復を遅らせることがあります

人工股関節術後で意外と多いのが、

調子が良くなったことで動きすぎてしまうケースです。

例えば、

  • 1日に何時間も歩く
  • 痛みを我慢して家事をする
  • 「筋肉を鍛えれば早く治る」と考えて無理をする

その結果、

  • 太ももの筋肉が疲労する
  • 股関節周囲が炎症を起こす
  • 痛みがぶり返す

という悪循環に陥ることがあります。

リハビリは、「頑張った量」を競うものではありません。


4. 人工股関節術後の回復には「波」があります

術後の回復は一直線ではありません。

  • 調子の良い日
  • 少し痛みが戻る日
  • 疲れやすい日

こうした波を繰り返しながら、少しずつ前へ進んでいきます。

「昨日より今日は痛いから失敗だ」ではありません。

長い目で見ると、確実に回復していることがほとんどです。


5. 回復が順調な患者さんに共通する3つの習慣

① 毎日少しでも続ける

10点満点のリハビリを週に1回行うより、

6〜7点のリハビリを毎日続ける方が、回復は安定します。

継続は、人工股関節術後最大の武器です。

② 「今日はここまで」と決める

術後は、

「まだ歩けるからもう少し」

ではなく、

「少し余裕を残して終える」

ことが大切です。

翌日も続けられることを優先しましょう。

③ 他人と比べない

外来では、

「友人はもっと早く歩けたそうです」

という声を聞くことがあります。

しかし、

年齢、筋力、手術前の状態、骨の質、持病などによって回復速度は異なります。

比べるべき相手は、昨日の自分です。

他人と比べるのは辞めましょう。


6. 実際の患者さんのお話

70代の男性患者さん。

退院後、「早く元気になりたい」という思いから、

毎日1万歩以上歩いていました。

ところが、

術後1か月頃から太ももの痛みが強くなり、歩くこと自体が苦痛になってしまいました。

そこで、歩行量を適切に調整し、休息日を設け、筋肉の回復を優先したところ、

痛みは改善し、その後は順調に回復されました。

外来で患者さんが笑いながら言われた言葉が印象的でした。

ふくぞうさん
ふくぞうさん

先生、頑張ることより、続けることの方が難しいですね。

まさに、その通りだと思います。




7. 人工股関節術後に大切なのは「完璧」ではなく「継続」

リハビリは100点を目指す必要はありません。

70点でも構いません。

80点でも十分です。

大切なのは、

明日も続けられること。

それが1か月後、3か月後、半年後には大きな差になります。


8. まとめ

塗山先生
塗山先生

回復は、頑張った量ではなく、“続けられた時間”で決まります。

人工股関節置換術は、人生を前向きに変えることのできる手術です。

しかし、その成果を最大限に引き出すのは、

  • 無理をしないこと
  • 焦らないこと
  • 毎日少しずつ続けること

です。

回復とは、一気に駆け上がるものではありません。

一歩ずつ、着実に積み重ねていくものです。

もし今日、思うように歩けなかったとしても大丈夫です。

明日も続けられるなら、それは確実に回復への一歩です。


9. 最後に

私は診察室で、患者さんにこんな言葉をお伝えしています。

塗山先生
塗山先生

昨日より少し前に進めたなら、それは十分に価値のある一日です。

人工股関節術後のリハビリは、短距離走ではありません。

焦らず、あなたのペースで歩み続けてください。

その積み重ねが、やがて「また旅行へ行けた」「孫と公園を歩けた」「好きな趣味を再開できた」という未来につながっていきます。

以上、参考になりましたでしょうか!?

では、筋トレに行ってきます。


10. 参考文献

  1. Learmonth ID, Young C, Rorabeck C. The operation of the century: total hip replacement. Lancet. 2007;370(9597):1508-1519.
  2. Tilbury C, Schaasberg W, Plevier JW, et al. Return to daily activities, work, and sports after total hip arthroplasty. Clin Orthop Relat Res. 2014;472(1):1247-1253.
  3. Wylde V, Blom AW. The failure of survivorship. Bone Joint J. 2018;100-B(1 Supple A):1-3.




【執筆】塗山正宏 医師
世田谷人工関節・脊椎クリニック
日本整形外科学会認定整形外科専門医

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