股関節331 変形性股関節症の保存療法と手術の判断基準

保存療法 股関節

おはようございます!
牛丼を食べるなら吉野家派の塗山です。






今回のテーマは、

変形性股関節症の保存療法と手術の判断基準についてです。





塗山先生
塗山先生

手術を受けるタイミングって悩みますよね。

むいちろうさん
むいちろうさん

手術はいつ受けたらいいのか悩みます。

おまたせしました、整形外科医の塗山正宏が真面目に語る時間がやってまいりました。

では、早速始めていきましょう!

変形性股関節症やその他の股関節疾患に悩む患者さんにとって、「手術を受けるべきか、それとも保存療法で対応できるのか?」という問題は大きな関心事です。

この記事では、保存療法と手術の違い、手術が推奨される基準について整形外科医の塗山正宏が解説し、少しでも参考にしていただければと思います。



1. 股関節疾患に対する保存療法

股関節の痛みや機能障害がある場合、まずは保存療法(手術以外の治療)を試みるのが一般的です。

① 運動療法(リハビリ)

適切なストレッチや筋力トレーニングを行うことで、股関節周囲の筋肉を強化し、関節への負担を軽減できます。

推奨される運動:

  • 股関節の可動域を保つストレッチ(大腿四頭筋、腸腰筋のストレッチ)
  • 中殿筋の筋力強化運動(ブリッジ運動、クラムシェルエクササイズ)

② 体重管理

股関節への負担を減らすため、適正体重の維持が重要です。

体重が1kg減ると、股関節への負担が約3〜5kg軽減されるとされています。

③ 薬物療法

痛みのコントロールには以下の薬剤や注射が使用されます。

  • 非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)(例: ロキソプロフェン、セレコキシブなど)
  • ヒアルロン酸注射
  • PRP療法(多血小板血漿療法)


2. 手術が推奨される判断基準

保存療法で十分な効果が得られず、日常生活に支障をきたす場合、手術が選択肢となります。

① 強い痛みが持続する場合

  • 安静時や夜間でも痛みがある(睡眠障害を引き起こすレベル)
  • 歩行時の痛みが強く、杖なしでは困難

② 関節の可動域制限が進行している場合

  • 靴下を履く、しゃがむ、階段の昇降が困難
  • 股関節の可動域が著しく低下(屈曲90°以下など)

③ 画像診断で進行した関節変形が確認される場合

  • X線、CT画像で関節の隙間が消失している状態進行期~末期の変形性股関節症
  • MRI画像で関節軟骨の消失が確認される

④ QOL(生活の質)が著しく低下している場合

  • 仕事や趣味、日常生活の活動が大幅に制限されている
  • 痛みのために外出が困難になり、社会活動が減少している


3. 人工股関節置換術のメリットとリスク

✅ メリット

  • 痛みの大幅な軽減
  • 歩行能力と日常生活の向上
  • 関節の機能改善により生活の質が向上

⚠️ リスク

  • 術後感染
  • 人工関節の脱臼
  • 骨折や血栓症など


4. 参考文献

・Takeda, Y. et al. (2021). “Effectiveness of exercise therapy in hip osteoarthritis patients: A systematic review”. Journal of Orthopedic Rehabilitation.

・Messier, S.P. et al. (2018). “Impact of weight loss on hip osteoarthritis: A clinical study”. Osteoarthritis and Cartilage.

・Hunter, D. J. et al. (2020). “Pharmacological management of hip osteoarthritis: Current strategies and future directions”. The Lancet Rheumatology.

・Harris, W. H. et al. (2019). “Criteria for total hip arthroplasty in osteoarthritis patients”. Clinical Orthopedics and Related Research.

・Malchau, H. et al. (2022). “Long-term outcomes of total hip arthroplasty: A 25-year follow-up study”. Journal of Bone and Joint Surgery.


5. 手術を受けるべきか?

🔹 まずは保存療法を試す

  • 運動療法、体重管理、薬物療法で症状が改善する可能性あり

🔹 以下の場合は手術を検討

・ 強い痛みが長期間続く
・ 可動域制限が進行し、日常生活に支障がある
・ 画像診断で股関節の変形が進行している


まとめ

股関節の痛みが持続し、保存療法で改善が見られない場合は、手術を検討するタイミングです。

早めの専門医相談が重要ですよ。

股関節の変形が重度になり、股関節周囲の筋力が落ちれば落ちるほど、回復に時間がかかります。

そして、術後の回復の程度も下がってくるので、限界まで痛みを我慢するのは避けたほうが良いでしょう。

以上、参考になれば幸いです。

では、また!



変形性股関節症の痛みで日常生活に支障が出るようであれば手術を検討しましょう。

オムライス

「ふんわりオムライス!!」


たまにふんわり卵のオムライスを身体が欲する整形外科医の塗山正宏でした!



【執筆】塗山正宏 医師
世田谷人工関節・脊椎クリニック
日本整形外科学会認定整形外科専門医


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