人工膝関節置換術後にゴルフはできる?
1. 「もうゴルフは諦めるしかない?」という質問に整形外科医が本音で答えます
整形外科医の塗山正宏です

先生、人工膝関節にしたらゴルフはできますか?
これは外来で非常によく聞かれる質問です。
そしてゴルフ好きの患者さんほど、手術の説明より先に聞かれます(笑)。
実際、

痛みは我慢できるけど、ゴルフができなくなるのは困る
という方も少なくありません。
私自身、多くの人工膝関節術後の患者さんを診てきましたが、
結論から申し上げると、
👉 人工膝関節置換術後もゴルフは十分可能です。
むしろ、
👉 痛みで歩けなかった方がゴルフを再開できるようになる
ことの方が多いのです。
今回は、
- 人工膝関節後にゴルフはできるのか?
- いつから再開できるのか?
- 気を付けるべきポイント
- ゴルフで人工関節は傷まないのか?
について、最新の論文を交えながら詳しく解説します。
2. 結論|人工膝関節後もゴルフはできる
まず結論です。
現在の人工膝関節は、単に歩くためだけの関節ではありません。
近年の研究では、多くの患者さんが術後にスポーツへ復帰しており、ゴルフはその代表的な種目です。
実際に国際的なガイドラインでも、ゴルフは人工膝関節後に推奨される低衝撃スポーツ(Low Impact Sports)に分類されています。
3. ゴルフ復帰率はどれくらい?
ゴルファーにとって最も気になる部分です。
2020年に発表されたシステマティックレビューでは、人工膝関節置換術後のスポーツ復帰率は約80〜90%と報告されています。
さらにゴルフに限定すると、多くの患者さんが術前と同程度の頻度でプレー可能になっています。
つまり、
👉 「人工膝関節になったからゴルフ人生終了」
ではなく、
👉 「痛みのないゴルフ人生の再スタート」
になるケースが多いのです。
4. ゴルフは膝に悪いスポーツなのか?
実はそこまで悪くありません。
ゴルフの特徴
ゴルフは
- ランニングが少ない
- ジャンプが少ない
- 接触プレーがない
という特徴があります。
人工膝関節にとって問題になるのは、
- サッカー
- ラグビー
- バスケットボール
のような高衝撃スポーツです。
一方、
ゴルフは比較的膝への負担が少ないスポーツと考えられています。
5. いつからゴルフを再開できる?
患者さんから最もよく聞かれる質問です。
パター練習
術後6〜8週間頃から可能なことが多いです。
打ちっぱなし
術後3か月頃が目安です。
コース復帰
一般的には
👉 術後3〜6か月
が目安です。
もちろん、
- 年齢
- 筋力
- リハビリ状況
- 回復速度
によって個人差があります。
6. なぜ焦ってはいけないのか?
人工膝関節は入れた瞬間に完成ではありません。
周囲の
- 筋肉
- 靭帯
- 神経
が回復する必要があります。
術後早期に無理をすると、膝の腫れや痛みが長引くことがあります。
7. ゴルフスイングで人工関節は壊れない?
これもよく聞かれます。
結論から言うと、
👉 通常のゴルフスイングで人工関節が壊れることはほぼありません。
現代の人工膝関節は非常に耐久性が高く、15〜25年以上機能することが期待されています。
8. ゴルフ復帰で注意すべきポイント
① 最初は9ホールから
いきなり18ホールは避けましょう。
患者さんの中には、久しぶりのゴルフで興奮し、術後初ラウンドで36ホール回ろうとする方もいます。
それはさすがに膝も驚きます。
② カートを活用する
無理に歩く必要はありません。
カートは敵ではなく味方です。
③ ラフよりフェアウェイ
深いラフは膝への負担が大きくなります。
術後早期はなるべく平坦な場所でプレーしましょう。
④ 傾斜地に注意
実はゴルフで最も膝に負担がかかるのは傾斜地です。
スイングよりも、斜面での体重移動の方が問題になることがあります。
9. 飛距離は落ちる?
これは個人差があります。
しかし面白いことに、術後に飛距離が伸びる患者さんもいます。
なぜなら、痛みがなくなるからです。
術前は
「痛いから体重移動できない」
状態だった方が、
術後は自然にスイングできるようになります。
10. 実際の患者さんの声
外来ではよくこんな話を聞きます。

もっと早く手術すれば良かった!
これは人工膝関節術後に最もよく聞く言葉の一つです。
特にゴルフ愛好家の方は、痛みを我慢しながらプレーしていた期間が長い傾向があります。
11. 専門医の本音
私は患者さんにこうお話ししています。

人工膝関節の目的は安静にすることではありません。
人工膝関節は、歩くため、旅行するため、そしてゴルフを楽しむための手術です。
もちろん無理は禁物ですが、過度に怖がる必要もありません。
術後のリハビリをしっかり行い、筋力を回復させれば、多くの方がゴルフを再開できます。
12. まとめ
人工膝関節置換術後もゴルフは可能です。
ポイント
✔ ゴルフは低衝撃スポーツ
✔ 多くの患者さんが復帰可能
✔ コース復帰は術後3〜6か月が目安
✔ 最初は無理をしない
✔ リハビリが重要
そして何より、
👉 人工膝関節は「ゴルフを諦める手術」ではなく、「ゴルフを再び楽しむための手術」です。
痛みを我慢しながらのラウンドより、
笑顔でプレーできる18ホールの方がずっと価値があります。
13. 参考文献
- Witjes S, van Geenen RCI, Koenraadt KLM, et al. Sports and Physical Activity After Total Knee Arthroplasty: A Systematic Review. Sports Medicine. 2016;46(2):269-292.
- Vogel LA, Carotenuto G, Basti JJ, Levine WN. Return to Golf Following Knee Arthroplasty. Journal of Knee Surgery. 2019;32(8):743-747.
- Papaliodis DN, Photopoulos CD, Mehran N, et al. Return to Golf Activity After Joint Arthroplasty. American Journal of Sports Medicine. 2017;45(10):2437-2442.
- Hoorntje A, Kuijer PPFM, et al. The Effect of Total Knee Arthroplasty on Sports and Work Participation. Knee Surgery, Sports Traumatology, Arthroscopy. 2018;26:3311-3324.
- American Association of Hip and Knee Surgeons (AAHKS). Recommendations for Sports Participation Following Total Joint Arthroplasty.
14. 塗山先生からのひと言
ゴルフは「ナイスショット!」よりも、「今日は痛くなかった!」の方が嬉しい日があります。
人工膝関節はスコアを10打縮める手術ではありません。
しかし、
もう一度フェアウェイを笑顔で歩けるようにする手術かもしれません。⛳️
以上、参考になりましたでしょうか!?
では、とやまは打ちっぱなしに行ってきます。
人工膝関節置換術後にゴルフに復帰は可能です!
【執筆】塗山正宏 医師
世田谷人工関節・脊椎クリニック
日本整形外科学会認定整形外科専門医


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