股関節323 人工股関節置換術と下肢静脈瘤

下肢静脈瘤 股関節

おはようございます!
年々病気に対する意識が高まりつつある塗山です。
これが老化っていうやつですかね…涙






今回のテーマは、

人工股関節置換術と下肢静脈瘤についてです。






塗山先生
塗山先生

下肢静脈瘤の話をしましょう!

ひでみさん
ひでみさん

私、下肢静脈瘤があるんです…

はろー、整形外科医の塗山です。

人工股関節置換術(Total Hip Arthroplasty: THA)は、股関節の痛みや機能障害を改善し、患者さんの生活の質を向上させる手術として広く行われています。

一方で、高齢者や運動不足の方に多く見られる下肢静脈瘤は、手術や術後のリハビリにおいても考慮すべき疾患です。

本記事では、人工股関節置換術と下肢静脈瘤の関係、術後合併症を予防するポイント、リハビリテーションの工夫について整形外科医の塗山が笑顔で優しく解説します。


下肢静脈瘤とは

下肢静脈瘤は、足の静脈内の逆流防止弁が機能不全を起こし、血液が逆流して静脈が拡張・蛇行する疾患です。長時間の立位や加齢、肥満などがリスク因子であり、むくみや痛みを引き起こすことがあります。

静脈瘤の症状

  • 足のだるさや疲れやすさ
  • 静脈の膨張やクモの巣状の血管
  • 足首やふくらはぎのむくみ
  • 夜間のこむら返り

下肢静脈瘤は直接生命に関わる疾患ではありませんが、深部静脈血栓症や皮膚潰瘍などのリスクを高めることがあります。


人工股関節置換術と下肢静脈瘤の関係

人工股関節置換術と下肢静脈瘤の関連性は、主に術中・術後の合併症リスクとして注目されます。

1. 術後の深部静脈血栓症(DVT)のリスク

人工股関節置換術後は、長時間の安静や下肢の可動性低下により、深部静脈血栓症のリスクが高まります。下肢静脈瘤がある患者さんでは、すでに静脈内の血流が不安定な場合が多いため、深部静脈血栓症のリスクがさらに増加する可能性があります。

2. 血流障害による創部治癒の遅れ

下肢静脈瘤がある患者では、血流障害が創部の治癒を遅らせる可能性があります。これは、血液供給が十分でないために炎症が慢性化したり、感染のリスクが高まることが原因とされています。

3. リハビリテーションへの影響

術後のリハビリテーションで歩行訓練を進める際、下肢静脈瘤による足の痛みやむくみがリハビリの進行を妨げる場合があります。


術後合併症を予防するためのポイント

人工股関節置換術を受ける患者さんで下肢静脈瘤がある場合、以下の点に注意することで合併症のリスクを低減できます。

1. 術前の評価と治療

術前に下肢静脈瘤の有無を評価し、必要であれば専門医の診察を受けることが推奨されます。静脈瘤の治療には、レーザー治療や硬化療法などの選択肢があります。

2. 術後早期の離床

術後に早期離床を促進することで、血流の停滞を防ぎ、深部静脈血栓症のリスクを軽減できます。また、弾性ストッキングの着用や間欠的空気圧迫装置の使用も効果的です。

3. 適切な抗凝固療法

抗凝固薬の投与は、深部静脈血栓症や肺血栓塞栓症のリスクを下げるために必要です。患者さんごとのリスクに応じた適切な投与量と期間を設定することが重要です。

4. リハビリテーションの工夫

むくみや静脈瘤による痛みを軽減するため、リハビリテーション中に適切なマッサージやストレッチを取り入れることが有用です。



まとめ

人工股関節置換術を受ける患者さんにおいて、下肢静脈瘤は無視できない合併症リスクを伴います。

術前の適切な評価と治療、術後の早期離床やリハビリテーション計画を通じて、これらのリスクを最小限に抑えることができます。

医療チームと患者さんが連携して対応することで、安全かつ効果的な術後回復が可能となるでしょう。

それでは最後に簡単にまとめてみましょう!

下肢静脈瘤があると人工股関節置換術後の血栓リスクが高まりますので、血栓症に注意しながらリハビリを継続していきましょう!っていうことですね。

以上、参考になりましたでしょうか?

では、また!


下肢静脈瘤の既往があると、術後の血栓症リスクが通常よりも高まるので要注意です!

カレーライス

「カレーライスに生卵はトッピングしがち!」


下肢静脈瘤にならない事を願っている整形外科医の塗山正宏でした!


【執筆】塗山正宏 医師
世田谷人工関節・脊椎クリニック
日本整形外科学会認定整形外科専門医

コメント

タイトルとURLをコピーしました