「最短距離より、安全に続けられる道を選ぶ。それが本当の回復です。」
― 整形外科医・塗山正宏が考える“回復の本当の意味” ―
こんにちは!
整形外科医の塗山正宏です。
人工股関節や人工膝関節の手術を受けた患者さんから、よくこんな質問をいただきます。
- 「どれくらいで元の生活に戻れますか?」
- 「できるだけ早く回復したいのですが、頑張って歩いた方がいいですか?」
- 「早く良くなる方法はありますか?」
回復を急ぎたいという気持ちは、とてもよく分かります。
しかし私は、そんなときにいつもこの言葉をお伝えしています。

最短距離より、安全に続けられる道を選ぶ。それが本当の回復です。
■ 回復は「競争」ではありません
現代の医療では、手術技術やリハビリテーションが進歩し、人工関節手術後の回復は以前よりもずっと早くなっています。
しかし、ここで大切なのは“早さ”よりも“安定して続けられること”です。
回復を急ぎすぎると、
- 痛みが強くなる
- 炎症が長引く
- 無理な負荷で転倒やケガにつながる
といったリスクが生まれてしまいます。
回復はマラソンのようなもので、短距離走ではありません。
■ 続けられることが、いちばん強い
リハビリや運動療法で最も大切なのは、「続けられること」です。
たとえば、
- 毎日10分の散歩
- 少しずつ歩く距離を増やす
- 痛みが出ない範囲で体を動かす
こうした積み重ねは、派手ではありませんが、確実に体を変えていきます。
一方で、
「今日は頑張って2時間歩いたけれど、その後3日間動けなくなった」
というようなリハビリでは、結果として回復が遅れてしまうこともあります。
■ 人それぞれの“回復のペース”
回復のスピードは、患者さんによって違います。
- 年齢
- 筋力
- 生活習慣
- 手術前の活動量
これらの要素が影響するからです。
だからこそ、他の人と比べる必要はありません。
大切なのは、自分の体に合ったペースで進むことです。
■ 整形外科医として大切にしていること
私は患者さんに、
「焦らなくて大丈夫です」
「安全な範囲で続けていきましょう」
とお伝えすることがあります。
それは決して消極的な考えではありません。
むしろ、長い目で見たときに最も確実な回復の道だからです。
回復とは、一気に良くなることではなく、毎日の積み重ねの結果として生まれるものです。
■ まとめ

最短距離より、安全に続けられる道を選ぶ。
それが本当の回復です。
手術は、回復のスタートラインです。
そこから先は、患者さんの生活の中で少しずつ体が変わっていきます。
焦らず、無理をせず、そして確実に前へ進んでいく。
その歩みこそが、本当の意味での「回復」なのだと私は思います。
焦らずじっくり地道に進んでいきましょう。
では、筋トレ行ってきます。
【執筆】塗山正宏 医師
世田谷人工関節・脊椎クリニック
日本整形外科学会認定整形外科専門医


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