「関節は治療できる。自信は、患者さんと一緒に育てるものです。」
1. 整形外科医として大切にしている“もう一つの治療”
こんにちは、整形外科医の塗山正宏です。
外来診療や術後フォローの中で、私はしばしばこんな場面に出会います。
関節の状態は医学的には改善している。
レントゲンも問題ない。
可動域も、筋力も、順調。
それでも患者さんが、どこか不安そうな表情を浮かべている——。
そんなとき、私はこの言葉を思い出します。

関節は治療できます。自信は、患者さんと一緒に育てるものです。
2. 痛みが取れても、すぐに動けるとは限らない
整形外科治療では、痛みの原因となる関節や骨、靱帯を治療することができます。
しかし、痛みが改善した瞬間に
「はい、以前のように動いてください」と言われても、
多くの患者さんは戸惑います。
- 「また痛くなるのではないか」
- 「動かして壊れないだろうか」
- 「本当にこの足を信じていいのだろうか」
これは決して弱さではありません。
それまで 痛みと制限の中で生活してきた“記憶” が、体と心に残っているだけなのです。
3. 自信は、数値や画像では生まれない
自信は、
- レントゲンがきれいになったから
- 手術が成功したから
- 医師が「大丈夫」と言ったから
それだけでは育ちません。
自信が育つのは、
- 実際に歩いてみて「大丈夫だった」と感じたとき
- 昨日より少し楽に動けたとき
- 生活の中で成功体験を積み重ねたとき
そうした 日常の小さな体験の中です。
だからこそ、自信は医師が一方的に与えるものではなく、患者さんと一緒に育てていくもの だと私は考えています。
4. リハビリは「体」と「心」の両方を回復させる時間
リハビリテーションの本当の役割は、
筋力や可動域を改善することだけではありません。
- 動いても大丈夫だと実感する
- できることが増えていく
- 生活が前に進んでいると感じる
こうした積み重ねが、失われていた自信を少しずつ取り戻していきます。
私は、
「今日はどこまでできましたか?」
「昨日よりも少しでも回復してきてますか?」
という会話を大切にしています。
そこに、自信の芽があるからです。
5. 医師の役割は「背中を押し続けること」
整形外科医は関節を治療できます。
でも、自信を“完成品”として渡すことはできません。
できるのは、
- 不安を言葉にしてもらうこと
- 安全な範囲を一緒に確認すること
- 小さな成功を一緒に喜ぶこと
そして、
「あなたはちゃんと前に進んでいますよ」
と、背中を押し続けることです。
6. まとめ

関節は治療できます。
自信は、患者さんと一緒に育てるものです。
治療のゴールは、単に痛みが取れることではありません。
- 自分の体を信じられるようになる
- また外に出たいと思える
- 生活を楽しめるようになる
その状態にたどり着くまで、私は医師として、患者さんと並んで歩き続けたいと思っています。
サポートしていきますからね!
宜しくお願い致します。
【執筆】塗山正宏 医師
世田谷人工関節・脊椎クリニック
日本整形外科学会認定整形外科専門医


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